1.投資対象=(魅力ある投資対象の提供)
多様なニーズを持つ投資家に対し、低廉なコストで魅力ある、競争力のある商品を提供
することを通し、高齢化時代に向けての国民金融資産の形成に寄与することを可能とすべ
きである。このためには、商品性の向上に加え、より投資家に配慮した証券発行者の経営
姿勢・情報開示のあり方が重要となってくる。
また、こうした魅力ある投資対象の提供は、市場の活性化の基本となるものである。
[具体的検討項目]
○ 商品の多様化
これまで、諸外国においては認められているが、我が国においては刑法、商法等の
問題もあり、取り扱われていなかった商品について、商品を多様化・拡充していく方
向で検討していくべきではないか。
・ デリバティブ商品等
デリバティブ商品については、多様なヘッジ手段の提供、運用パフォーマンス
を向上させる新たな商品の提供といった観点から、株式関係のデリバティブ取引
や債券先物・オプション取引拡充の為の環境整備を行っていくべきではないか。
・ 有価証券の定義
金融技術の高度化等に伴い、資産金融型証券を含めた多様な商品が登場する中
で、証券取引法上の有価証券の定義が新商品の開発の障害となっているという意
見や、そのあり方を検討していくべきとする意見ついて、どう考えるべきか。
○ 投資信託
投資信託については、個人投資家を中心とする不特定多数の投資家に、簡便かつ効
率的な資産運用手段を提供するという中核的な役割を今後果たしていくことが期待さ
れる。こうした観点から、投資信託の利便性の向上、商品の多様化、販売チャンネル
の拡充の方策につき、検討すべきではないか。
○ 企業活力の向上
我が国において、資金調達企業から要望の強いABS(資産担保型証券)、MTN
(ミディアム・ターム・ノート)、DR(預託証券)、ストック・オプション及び株
式発行手続きの迅速化・弾力化措置等については、その導入や利用の拡大に向けて、
商法等の法律上の考え方をいかに整理することが可能か。
○ 株式の魅力の向上
個人投資家を株式市場に呼び戻すには、投資対象たる株式の投資価値を高めるとと
もに、株式の公正価値の確保が必要ではないか。また、個人投資家に株式投資をより
身近なものとするための方策を検討すべきではないか。また、この関連で商法の法律
上の考え方を整理することが有益との意見について、どう考えるか。
・ 配当性向
額面配当主義からの脱却、配当性向・ROEに配慮した配当政策への移行等の
配当政策における意識改革が必要とされているのではないか。また、「意識改
革」をどのような方策で誘導することが可能か。
・ 税制
配当課税のあり方の見直しが、株式の投資対象としての魅力を高めるために必
要と考えるかどうか。
・ 利益消却のための自己株式取得
ROE等の財務指標の向上や余剰資金の株主への還元等の観点からは、自己株
式の取得・消却は有効な手段の一つとなりうると考えられるが、商法の法律上の
考え方をいかに整理することが可能か。
・ 株式の持合い
株式の持合いについては、非金融的な動機による株式の保有を通して価格形成
を歪め、株の公正価値の確保に悪影響を与えており、一定の合理性を認めつつも
これを解消の方向に持っていくことが望ましいとする意見がある一方、非金融的
な動機による株式保有を排除する必要はなく、株価形成に与える影響も「歪み」
と言えるかとの議論もあるが、どう考えるべきか。
・ 株式の投資単位
個人投資家がより身近かつ容易に株式投資を行えるようにするとの観点から、
企業には、株式の投資単位の引下げへのより積極的な取り組みが求められるので
はないか。また、この関連で商法の法律上の考え方を整理することが有益との意
見について、どう考えるか。
○ 情報提供の充実
多様化する投資家ニーズに応え、また、個人投資家を呼び起こしていくためには、
投資家の判断材料を充実させていくことが重要であり、適時開示の徹底及びIRの促
進や各種の証券市場情報関連産業の発展を図っていくことが望ましいのではないか。
○ 商品供給コストの削減
投資対象たる商品の魅力を高めるとの観点から、取引諸費用である有価証券取引税
等、及び以下に検討項目として挙げられている手数料について、どう考えるか。